子犬の夜鳴きの原因と対策

寝っ転がっている柴犬の子犬
明確な基準はありませんが、子犬の夜鳴きはお迎えしてから1週間ほど続くことが多いです。この期間をただ放置せず、原因を見つけて適切な対策を講じましょう。
愛犬との信頼関係を築く大切なプロセスとなります。

環境の変化への不安、寂しさ

子犬が家にやってきたばかりのころは夜鳴きをすることがよくあります。
犬はもともと群れで生活する動物であり、とくに子犬期は親犬や兄弟犬と一緒にいることで安心感を得て、熟睡することができています。

そのため、慣れない環境にひとりぼっちになると、不安や寂しさから夜鳴きをすることがあります。

対策

夜鳴きを防ぐためには、愛犬が安心できる環境を整えることが重要です。
子犬の寝床を飼い主さんの寝室に近づけるか、しばらくの間は飼い主がケージの近くで一緒に寝てあげるのもよいでしょう。

さらに、愛犬のお気に入りのおもちゃ、安心できるにおいがついたタオルや毛布などを寝床付近に置くのも効果があります。
日中にたっぷり遊んで疲れさせ、夜は全消灯して真っ暗にするという対策もおすすめです。

トイレの要求、空腹

おしっこがしたい、おなかが空いた、のどが渇いたなど、夜鳴きの原因が生理的な欲求の場合もあります。この場合は欲求が満たされると鳴きやむことが多いです。

対策

  • トイレの要求
愛犬が生理的欲求を満たした状態で安眠できるよう生活リズムを整えましょう。寝る前には必ずトイレに連れて行き、就寝前の排泄を習慣づけます。
また、愛犬が夜中に目を覚ましたときに、ひとりで排泄できる環境をつくりましょう。寝床の近くにトイレを設置するとよいです。

  • 空腹
食事は月齢に合わせ、1日2回以上に分けて与えます。
子犬期は成長に多くの栄養を必要としますが、一度に食べられる量が限られているため、食事をこまめに分けて与えることが大切です。
就寝前におやつや軽食を与えるのもよいでしょう。水もすぐ飲める場所に設置しておくと安心です。

成犬の夜鳴きの原因と対策

ベッドで横になっているフレンチブルドッグ
成犬になっても、部屋の模様替えや引っ越しなど環境変化があれば不安を感じ、夜鳴きをすることがあります。また、成犬でも生理的欲求が満たされていなければ、夜であっても鳴くでしょう。

原因が子犬期と同じ場合には、同じ対策をとることが有効です。
ただし、子犬期には見られなかった成犬ならではの要因もあるので、愛犬の行動や様子をよく観察しましょう。

運動不足、ストレス

日中の運動量が足りないと、寝つきが悪くなり、夜鳴きをすることがあります。
眠れない不安や運動不足によるストレスを、鳴くことで発散していることが考えられます。

対策

愛犬が夜しっかり眠れるようにすることがもっとも効果的な対策です。
散歩時間を延ばすだけでなく、室内遊びの時間も設けて、日中に十分な運動をさせましょう。適度に疲れさせることが、夜鳴き防止のポイントです。

甘え

飼い主さんに構ってほしくて夜鳴きするケースです。
この理由で夜鳴きをしている場合、鳴いたときに構ってしまうと「鳴けば飼い主さんが来てくれる」と学んでしまうため注意が必要です。

対策

日中に十分なスキンシップを心がけましょう。運動不足だけでなく、コミュニケーション不足にもならないように、一緒に遊ぶ時間を確保します。

もし甘えで夜鳴きをした場合は、鳴きやんだときに必ず褒めて、「鳴かずに落ち着いていればよいことがある」と覚えてもらいましょう。

発情期

成犬オスの場合、発情期のメス犬のにおい(ヒートのにおい)をかぎ取って夜鳴きをすることがあります。これは本能的な行動が原因です。

対策

発情期のメス犬のにおいによる興奮のため、トレーニングなどでやめさせるのは難しいといえます。この場合、去勢手術が有効な対策となるでしょう。
去勢手術は発情期による興奮やストレスを軽減し、病気の予防にもつながります。かかりつけの動物病院で相談してみましょう。
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老犬の夜鳴きの原因と対策

ソファの上で過ごしているシニア犬
シニアになってからの夜鳴きの原因は子犬期や成犬期と大きく異なり、視力や聴力の衰えによる不安、体の痛みが主な原因です。
シニア期に入ったら日ごろから愛犬の状態をしっかり観察し、変化に気付けるように心がけましょう。

高齢化による体の痛み

加齢による足腰の痛みや床ずれなど、体を動かせない不自由さから夜鳴きをします。

対策

愛犬に、加齢による症状が見られた場合は、まずは獣医師に相談しましょう。寝床にはクッション性のあるマットやシートを用意し、愛犬の睡眠環境をシニア向けに整えます。
適切な室温を保ち、寝苦しさを和らげる工夫も必要です。

認知症

認知症を発症すると、生活が昼夜逆転しやすくなります。
また、夜なのにごはんをねだって鳴くこともあります。夜鳴き以外にも、歩ける状態であれば室内をぐるぐると回り続けるといった症状が見られることもあるでしょう。

対策

愛犬の体内時計を整えることを意識します。日中に無理のない程度に散歩をし、太陽の光を浴びさせるようにしましょう。
外に出られないときも、家のなかの日当たりのよい場所で過ごさせると同じくらいの効果が期待できます。

夜は部屋を真っ暗にするのがポイントです。外からの光が漏れないようカーテンをきちんと閉め、夜用の電灯は介助が必要なときにだけ使用し、普段はすべて消灯しましょう。

犬の夜鳴きの対処法でやってはいけないこと

しつけ中のブルドッグ
これまで解説してきた通り、夜鳴きには必ず理由があります。原因によって対処法は異なるため、まずは原因を知ることがポイントです。
突然夜鳴きをした場合は体調不良の可能性も考えられます。放置したり冷たい態度をとったりしないように注意しましょう。

無視、放置

夜鳴きを放置すると鳴き声がエスカレートし、さらに悪化する可能性があります。
夜鳴きが続くことは、愛犬にも飼い主にも心身の負担となるため、できるだけ早く原因を特定し、適切に対処することが重要です。

原因が特定できないときも、愛犬の寝床周辺の環境を見直したり、優しく声をかけたり、就寝前にスキンシップをしたりするなど、できることから対応して問題を放置しないようにしましょう。

叱る

叩いたり叱ったりするのは、犬に恐怖を与え、信頼関係を損なう原因となるため、絶対に避けるべき行動です。

冷静に対応できるよう、飼い主自身の健康状態をしっかり管理することも大切です。ストレスや疲労を感じているときは無理をせず、愛犬のもとへ行く前に深呼吸をして気持ちを落ち着ける工夫をしてみましょう。

まとめ

飼い主のそばで一緒に過ごしている犬
愛犬の夜鳴きの原因は犬の年齢や環境によって異なることがわかりました。
愛犬が夜鳴きをしたら、まずは様子を観察し、考えられる原因を一つずつ改善していきます。原因によってはすぐに解決できないこともありますが、その際は知人や動物病院に相談し、無理をしないようにしましょう。
決して放置はせず、愛犬の悩みと落ち着いて向き合えるようにしたいですね。
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