犬は留守番が苦手? 適切な留守番の時間は?

ベッドで寂しそうにしている犬
犬は群れで生活する動物であり、飼い主とともに過ごすことを好みます。そのため、長時間ひとりでいることは自然な状態ではなく、不安やストレスを引き起こす要因になります。
とくに普段から飼い主と過ごす時間が多い犬ほど、短時間の留守番でも強いストレスを感じやすい傾向にあります。

犬が留守番できる時間の目安

犬がどの程度留守番できるかは、年齢によっても異なります。
たとえば、子犬は排泄の頻度も多いため、留守番の時間は2~3時間が限界です。一方で、成犬の場合は6~8時間は留守番が可能とされています。

老犬は健康状態によりますが、体力が低下しているため、できるだけ短い留守番が望ましいでしょう。

留守番トレーニングの手順

クレートに入っている犬

ステップ1: 事前準備

環境の整備

まずはケージやクレート、サークルを用意し、犬がリラックスできる空間を整えます。
ただし、ケージやクレートのトレーニングを事前に済ませておくことがマスト。ケージやクレートが安心できる場所であることを犬に理解させてあげましょう。

時間をつぶせるおもちゃの準備

留守中に犬が退屈しないように、噛むことができるおもちゃや知育トイを用意します。
おもちゃをクレートの中に入れて、遊びながら時間を過ごせるようにすれば、犬の不安を紛らわせることができます。

おもちゃは破損や誤飲の可能性が低いものに限ります。また、子犬におもちゃを与える場合は短時間の留守番にとどめるなど、事故が起こらないように注意を払いましょう。

ステップ2: はじめての留守番は疑似体験から

最初からいきなり外出せず、まずは別々の部屋で過ごすなど、留守番の「疑似体験」をさせましょう。

はじめのうちは数分ほどでおこない、10分、30分……と徐々にひとりで過ごす時間を延ばしていきます。愛犬がおとなしく待っていることができたら、部屋に戻ったタイミングにしっかりと褒めてください。

この練習を何度か繰り返し、愛犬に成功体験を積ませてあげましょう。

ステップ3: 実際の留守番にチャレンジ

留守番の「疑似体験」に慣れてきたら、数分間の外出を試みます。
まずは玄関ドアの前で様子を見て、問題がなければ、段階的に時間を延ばし、本格的な留守番へとスライドさせていきましょう。

この際、吠えているタイミングで戻ると「吠えれば飼い主が戻ってくる」と犬が学習してしまい、問題が悪化します。
吠えても飼い主が戻らないということを犬に理解させるため、静かになったタイミングで戻るように徹底してください。

外出前・帰宅後の注意点

床に寝そべっているビーグル

外出前

外出前に声かけや別れの挨拶をするのは避けましょう。
飼い主が「行ってくるね」などと声をかけると、犬が「飼い主がいなくなる」というサインとして捉え、不安を誘因させることにつながるからです。

静かに出かけることで、犬が外出を特別なイベントと感じず、自然なことだと受け入れやすくなります

帰宅後

帰宅直後は興奮しすぎる犬も多いですが、その状態のまま撫でたり抱っこしたりすると、飼い主の帰宅前から不安定な状態になってしまいかねません。

帰宅後すぐには構わず、犬が落ち着いてからスキンシップを取りましょう。
また、その際、飼い主はオーバーリアクションせず、いつも通りのテンションで向き合ってください。

問題が発生した場合の対処法

吠えるポメラニアン

吠え続ける場合の対策

犬が吠え続ける場合は、再度短い時間の留守番からトレーニングをやり直すことが必要です。

また、吠える原因が退屈や不安からくるものであれば、知育トイを増やしたり、留守番の環境をより快適に整える工夫も重要です。

問題行動が改善しない場合

トレーニングを続けても改善しない場合は、犬の分離不安が強く、専門家の助けが必要な場合があります。
トレーナーや獣医に相談のうえ、愛犬に適したトレーニング方法を探しましょう。
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仲睦まじい多頭飼いの犬

ペットカメラは買ったほうがいい?

ペットカメラがあれば、吠えなどの問題行動をリアルタイムで確認できるため、トレーニングの進捗や愛犬のストレスサインの早急な察知に役立ちます。

種類によってはマイク・スピーカー機能が搭載しているモデルも販売されており、愛犬が不安そうにしているときは声をかけて落ち着かせてあげることも可能です。

ただし、マイク・スピーカー機能については、飼い主の声は聞こえても姿が見えないことで混乱したり、かえって不安になったりするケースも。
また、犬がカメラを気にしすぎる場合もあるため、愛犬の性格などを踏まえて導入の有無や使い方を検討したほうがよいでしょう。
先輩飼い主の声
女性
食糞チェックだけでなく、わが子の癖を知ることができた

低月齢のときは食糞に悩まされていたので、お留守番中にうんちをしていないかチェックし、出しているようであれば急いで帰るように徹底していました。

また、人の目があるとうんちができない子だったので、ソワソワしはじめたらドアを閉め、排泄の様子の観察にも活用していました。
その際、まさかの立ちスタイルで排便していたのですが、ペットカメラがあったからこそ知ることができたと思っています。

▲ケージにつかまりながらの立ち排便スタイル(サモエド/当時2カ月)
先輩飼い主の声
女性
急なトラブルにも大活躍! 外出先の癒しにも◎

ペットカメラは愛犬の事故やケガを防ぐのに役立つと思います。
以前、仕事の昼休み中にカメラを見たら、サークルからの脱走が発覚。急遽帰宅し、午後から在宅勤務に切り替えたことがあります。
結果、なんともなく無事でしたが、お風呂場に侵入して、洗剤を食べてしまわないかとひやひやしました。

また、日常的にかわいい姿をチェックできるところもメリットのひとつです。スマホひとつで愛犬のかわいい姿が見れて、いつも癒されっぱなしです。

▲おうち型のベッドでくつろぎ中。でも使い方が違うような……(ミニチュアダックスフンド)

留守中にクレートに閉じ込めても大丈夫?

犬の祖先は巣穴で生活していたため、暗くて狭い空間を心地よく感じる傾向があります。
もちろんトレーニングは必要ですが、日ごろからクレートで過ごすことに慣れさせ、犬が「安心できる場所」と感じるようになれば、留守番中に入れておくことは問題ありません。

ただし、長時間クレートに閉じ込めるのはNG。仕事のときなど長時間家を空ける場合は、ケージやサークルを使用しましょう。

また、ケージやサークルは余裕をもたせたサイズを選ぶとともに、留守番をさせたあとは適切な運動時間を取り入れることが大切です。

多頭飼いのほうが寂しさは紛れる?

多頭飼いは、犬がひとりで過ごす寂しさを軽減する効果が期待できます。互いに遊んだり寄り添ったりすれば、飼い主がいない間の不安やストレスを緩和されるでしょう。

しかし、すべての犬が多頭飼いに向いているわけではありません。
犬同士の相性が悪い場合は、逆にストレスや問題行動を引き起こすこともあります。多頭飼いを検討する際は、犬の性格や生活環境をよく考慮することが大切です。

まとめ

ソファでくつろぐ犬
犬が留守番に慣れるには時間と努力が必要ですが、段階的に適切なトレーニング法を取り入れれば、少しずつ安心して一人で過ごせるようになります。
今回紹介した方法をもとに、愛犬が安心して留守番できる環境を整え、飼い主と犬の双方にとっての快適な生活に役立ててください。
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