カーミングシグナルとは?
カーミングシグナルはコミュニケーションの手段
カーミングシグナルとは「calming(落ち着かせる)」と「signal(シグナル)」を組み合わせた言葉で、相手に自分の気持ちを伝える行動をいいます。
ストレスや緊張をやわらげ、争わず平和に過ごせるように本能的に備わっているもので、現在わかっているだけで約30個の合図があります
ストレスや緊張をやわらげ、争わず平和に過ごせるように本能的に備わっているもので、現在わかっているだけで約30個の合図があります
子犬もカーミングシグナルをする?
生まれつき備わっているものとはいえ、生後間もない子犬はほとんどのカーミングシグナルを出せません。
幼い子犬は自分の意志でスムーズに体を動かすことができない未熟な状態であるうえ、カーミングシグナルとは飼い主との関わりや社会化期でほかの犬と触れ合う経験などを通し、身につけていくものでもあるからです。
子犬で表現できるものは唯一「あくび」で、成長するにつれて多くのカーミングシグナルを出せるようになっていきます。
幼い子犬は自分の意志でスムーズに体を動かすことができない未熟な状態であるうえ、カーミングシグナルとは飼い主との関わりや社会化期でほかの犬と触れ合う経験などを通し、身につけていくものでもあるからです。
子犬で表現できるものは唯一「あくび」で、成長するにつれて多くのカーミングシグナルを出せるようになっていきます。
カーミングシグナルを出すとき
カーミングシグナルを出すときには理由があります。
どのようなシーンで、なぜ合図を出すのでしょうか。具体的にみていきましょう。
どのようなシーンで、なぜ合図を出すのでしょうか。具体的にみていきましょう。
安心感を与えたいとき
人や犬などに対し、自分は友好的であることを知らせ、安心感を与えたいときにおこないます。
初対面や散歩でほかの犬とすれ違うシーンなどで多くみられるでしょう。
初対面や散歩でほかの犬とすれ違うシーンなどで多くみられるでしょう。
ストレスや不安を感じているとき
ストレスや不安、緊張などを感じたときに、本能的に出るしぐさです。
抱えたストレスや不安を相手に伝え、争いを避けたい気持ちを知ってもらうためにおこないます。
抱えたストレスや不安を相手に伝え、争いを避けたい気持ちを知ってもらうためにおこないます。
不快なことを鎮めたいとき
痛いやかゆい、苦しいなど不快な刺激を鎮めたいとき、犬や人からの威嚇をやわらげたいときにもおこないます。
鎮めたりやわらげたりするためだけでなく、周囲へ知らせることも目的としています。
鎮めたりやわらげたりするためだけでなく、周囲へ知らせることも目的としています。
威嚇から逃げたいとき
人やほかの犬による脅威から逃げるために合図を出します。
そもそも犬は平和主義であり、友好的な動物です。争いはなるべく避け、人やほかの犬と対立せず、仲良く過ごしたいと考えています。
そもそも犬は平和主義であり、友好的な動物です。争いはなるべく避け、人やほかの犬と対立せず、仲良く過ごしたいと考えています。
自分を落ち着かせたいとき
不安を感じている自分の気持ちを相手に伝えると同時に、自分の気持ちを落ち着かせるためにおこないます。
初めての場所や苦手な場所などにいて緊張しているときにも多く発信します。
初めての場所や苦手な場所などにいて緊張しているときにも多く発信します。
周囲に落ち着いてほしいとき
自分だけでなく、周囲の人や犬、飼い主などに対し、落ち着いてほしいと思ったときに合図を出します。
必要以上に大きな声で怒っている飼い主に対して、愛犬が出すこともあるサインです。
興奮している相手に落ち着いてほしい気持ちにくわえ、敵意がないことを伝えるためにおこないます。
必要以上に大きな声で怒っている飼い主に対して、愛犬が出すこともあるサインです。
興奮している相手に落ち着いてほしい気持ちにくわえ、敵意がないことを伝えるためにおこないます。
犬のカーミングシグナル一覧
実際のカーミングシグナルとその意味を解説します。
あくびをする
ストレスや緊張をやわらげようとするためにあくびをします。
背中を向ける
相手に敵意がないことを示し、落ち着いてもらいたいときの動作です。不安を感じたときにもおこないます。
地面のにおいをかぐ
自分や相手が興奮していたり、不安に思っていたりするのを落ち着かせるためにおこないます。
情報収集のためであることも多いですが、緊張しているときにもにおいをかぎます。
情報収集のためであることも多いですが、緊張しているときにもにおいをかぎます。
視線をそらす
相手に対し敵意を持っていないと伝えるためにおこないます。ストレスから逃れようとしているケースもあります。
オスワリをする
散歩中や遊んでいる最中にオスワリをするときは、カーミングシグナルであることが多いといえます。
相手に対し敵意を持っていないことを伝え、落ち着かせようとおこなう行動です。
相手に対し敵意を持っていないことを伝え、落ち着かせようとおこなう行動です。
フセをする
オスワリと同じように、フセもカーミングシグナルの一つです。
はしゃぎすぎたり、興奮しすぎたりしたときに、自分で落ち着こうとしてとります。
はしゃぎすぎたり、興奮しすぎたりしたときに、自分で落ち着こうとしてとります。
前足をあげる
オテのようなしぐさですが、カーミングシグナルである場合はストレスや不安、緊張を感じているときの合図です。
鼻や口のまわりをなめる
自分や相手の興奮を落ち着かせたいときにおこなう、代表的なカーミングシグナルの一つです。
私たちが緊張する場面でゴクンと「つばを飲み込む」行動と似ているといわれています。
自分の緊張や興奮を抑えたいとき、相手の感情を落ち着かせ、争いに発展させたくないときに出るしぐさです。
私たちが緊張する場面でゴクンと「つばを飲み込む」行動と似ているといわれています。
自分の緊張や興奮を抑えたいとき、相手の感情を落ち着かせ、争いに発展させたくないときに出るしぐさです。
おしっこをする
相手に敵意がないことを伝え、仲良くなるために、初対面の犬の前でおしっこをすることがあります。
緊張しているときや不快な気持ちのときに、おしっこをすることも多いです。
緊張しているときや不快な気持ちのときに、おしっこをすることも多いです。
かたまる
いわゆる「フリーズ」の状態です。
苦手なもの、嫌いなものをみたときに出すカーミングシグナルです。
苦手なもの、嫌いなものをみたときに出すカーミングシグナルです。
身震いする
緊張や不安を感じ気持ちを切り替えたいときや、緊張から解放されたときに出るシグナルです。
相手にゆっくりと近づく
相手に敵意がないことを示し、落ち着いてほしいときにおこないます。
カーブを描きながら近づく
カーブを描きながら近づいていく場合は、相手に刺激を与えないようにしたいという気持ちがあります。
体を横向きにそらす
相手に落ち着いてほしいときにみせる行動です。
飼い主に叱られたり、ほかの犬に吠えられたりしたときに見せた場合は、不安になっている気持ちを伝えようとしています。
飼い主に叱られたり、ほかの犬に吠えられたりしたときに見せた場合は、不安になっている気持ちを伝えようとしています。
はじめて会う犬に体の横を見せておしりから近づく
相手を落ち着かせるためにとる行動です。
不安になったときや相手に対し敵意を持っていないことを示したいときにもおこないます。
不安になったときや相手に対し敵意を持っていないことを示したいときにもおこないます。
しっぽを振る
しっぽは振り方によって大きく意味が異なります。
素早く小刻みに振っているときは、相手に対して警戒心を抱いている状態で、緊張しています。また、しっぽを高く上げ、小さくゆっくり振っているときは、相手を威嚇している可能性があります。
状況と犬の表情で犬の気持ちを正しく判断しましょう。
素早く小刻みに振っているときは、相手に対して警戒心を抱いている状態で、緊張しています。また、しっぽを高く上げ、小さくゆっくり振っているときは、相手を威嚇している可能性があります。
状況と犬の表情で犬の気持ちを正しく判断しましょう。
初対面の犬と会ったあとに離れる
はじめて会った相手との挨拶が無事に終わり、お互いを認め合ったという合図です。
鼻を持ち上げる
鼻を上げ、何かのにおいを嗅ぐようなしぐさは、少し離れたところにいる相手に対して敵意がないことを示し、落ち着いてほしい気持ちを伝えるためにおこないます。
2頭の犬の間に割り込む
争い防止のためで、緊張とストレスを感じている状態です。相手の行動をけん制する意味もあるといわれています。
低姿勢をたもって飛びかかろうとする遊びの体勢
プレイバウといって、一緒に遊ぼうという誘いの意味があり、喜びを伝えたいときのサインです。
しっぽを振って体を低くする
しっぽを下に向けて大きく振っているときは、不安や緊張をあらわしています。地面につくくらいにしっぽを下げ、小刻みに振っているのにくわえ、耳を後ろに倒している場合は、「これ以上近づかないでほしい」「自分を攻撃しないでほしい」という気持ちです。
犬同士が顔を見合って口を後ろへ引く
敵意がないことを示すしぐさです。相手への服従心もあるといわれています。
口をパクパクさせる
不快な気持ちを抑えようとしているしぐさです。興奮したとき、自分を落ち着かせるために見せることもあります。
その場にいないようにふるまう
興奮や盛り上がる感情を抑えようとしているときの行動です。
何かをしようとしたができず、ほかの行動に置き換える
別のことをしてストレスやパワーを発散させたいという気持ちからの行動です。
カーミングシグナルを観察するメリットと注意点
犬と意思疎通ができる
カーミングシグナルを理解し、見逃さないことで、愛犬の気持ちを知ることができます。
愛犬が不安を感じているとわかれば、原因となっているものを取り除いたり避けたりと、適切に対処することが可能です。
愛犬の気持ちを把握して対応することでは信頼関係の向上につながりますし、愛犬の精神状態も健やかでいられるでしょう。
愛犬が不安を感じているとわかれば、原因となっているものを取り除いたり避けたりと、適切に対処することが可能です。
愛犬の気持ちを把握して対応することでは信頼関係の向上につながりますし、愛犬の精神状態も健やかでいられるでしょう。
ストレスでカーミングシグナルを見せないことも
非常に強いストレスを感じたり、カーミングシグナルを無視され続けたりすることで、カーミングシグナルを表現しなくなることもあります。
カーミングシグナルは犬にとって大切なコミュニケーション手段です。コミュニケーションとは意思疎通を図り交流することですから、飼い主側が犬の気持ちを読み取ってあげることはとても重要です。
信頼関係を構築するためにもカーミングシグナルを学び、愛犬をしっかり観察しましょう。決してめずらしいしぐさではなく、あらゆるシーンで使われていることに気付くはずです。
カーミングシグナルは犬にとって大切なコミュニケーション手段です。コミュニケーションとは意思疎通を図り交流することですから、飼い主側が犬の気持ちを読み取ってあげることはとても重要です。
信頼関係を構築するためにもカーミングシグナルを学び、愛犬をしっかり観察しましょう。決してめずらしいしぐさではなく、あらゆるシーンで使われていることに気付くはずです。
まとめ
犬が生まれつき備え、経験を重ねさらに身につけていくカーミングシグナル。
ときには本能的に、ときには気持ちを伝えたくて、一生懸命に発信している合図です。
伝えたいものは喜びや幸福感だったり、緊張や不安感だったりもするでしょう。愛犬がその心を閉じてしまわないよう、飼い主を信頼し気持ちを伝え続けることができるよう、愛犬を観察し、理解し、気持ちに寄り添ってあげることが大切です。
ときには本能的に、ときには気持ちを伝えたくて、一生懸命に発信している合図です。
伝えたいものは喜びや幸福感だったり、緊張や不安感だったりもするでしょう。愛犬がその心を閉じてしまわないよう、飼い主を信頼し気持ちを伝え続けることができるよう、愛犬を観察し、理解し、気持ちに寄り添ってあげることが大切です。