

窮屈さとは無縁の、自然豊かな環境で育む命
とにかく健康で、みんなに愛されるフレンドリーな子犬を育てたい
25年のキャリアをもち、20種類もの犬種を育ててきた深沢ことみブリーダー。犬舎があるのは、関東平野東部を流れる鬼怒川沿いの、木々に囲まれた閑静な場所。のびのびと健やかに育てられた犬たちは、一様に穏やかな表情をしている。「みんなのブリーダー」のお客様評価が高く、2021年下半期のブリーダーアワードを受賞した深沢ブリーダーが、犬舎のこだわりや犬への想いを話してくれた。
取扱犬種
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コーギー
最もブリーディングの実績を重ねてきたコーギー。遺伝子検査クリアの親から生まれています。
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柴犬
主に標準サイズの元気な子を育てています。人気の狸顔の子もよく生まれます。
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ゴールデンレトリバー
チャンピオン犬や優良血統の親から生まれた子たちです。
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シベリアンハスキー
シベリアンハスキーらしい豊かな被毛と、しっかりした骨格をもつ子を育てています。
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その他
サモエド、トイプードル、イタリアングレーハウンド、ダルメシアンなど20犬種
犬舎の一日

- 5時
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早朝スタッフ出勤 順番に犬を外に出して遊ばせる。その間スタッフは部屋を掃除し、食事の準備をする。
- 12時
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部屋の掃除と食事の完了部屋の出入りの際、抱き上げて犬の健康チェックをおこなう
- 午後
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お産室の掃除。温度・湿度チェック
お客様の見学対応
ブラッシング・シャンプー・爪切りなどのお世話 - 17時~18時
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スタッフ帰宅深沢ブリーダーは、お客様対応などのお仕事
ブリーダーヒストリー

- 1970~80年代
- 子どものころから犬が大好き。はじめて犬を飼ったのは幼少期のころで、雑種の子。一生懸命お世話をした。
- 1998年
- 愛犬(コーギー)の出産に立ち会い、子犬たちの愛らしさに心を奪われる。以来、犬のブリーディングに興味をもった。
- 1999年
- キャバリアの子犬をはじめてお客様にお譲りする。
- 2007年
- ゴールデンレトリバーのブリーディングを開始。
- 2016年
- みんなのブリーダーの利用をはじめる。
- 2018年
- コーギーや柴犬などの遺伝子検査を開始。
インタビュー
愛犬が生んだ子犬たちのかわいさにノックアウト。徐々に開けて行ったブリーダーへの道

ブリーダーをはじめたきっかけを教えてください。
ペットとしてかわいがっていたコーギーの子どもが見たくて、出産をさせたのがきっかけです。生まれた子犬たちは、それはそれはかわいくて。赤ちゃんってこんなにかわいいんだって思いましたね。
最初のこどもたちは、みんな家で飼っていましたが、かわいくて元気な子犬を欲しいと思っている人がたくさんいることを知って、お譲りすることを考え出したんです。
当時コーギーはすでに人気犬種だったのでしょうか。
ちょうど人気に火が付いたころです。すでにコーギーは日本でも手に入る犬ではありましたが、小泉今日子さんが出ていた紅茶のCMをきっかけに、爆発的な人気となったんです。
コーギーの魅力はどこでしょうか。
人間が大好きなところですかね。人懐っこいのは、コーギーの性格の特徴といえます。あと、おしりがぷりぷりしているところもたまりませんね(笑)
日光連山を望む鬼怒川沿いに建てた犬舎。自然豊かな環境で育む健やかな犬たちが自慢

犬舎の特長を教えてください。
大自然に囲まれた場所にあるということが一番かな。空気がきれいで、好きなだけ駆け回れる運動スペースがある、アスファルトではなく土を踏める環境です。犬たちが元気な声をあげても、ご近所を気にする必要はありません。
あとこだわりといえば、掃除を徹底しています。山の中なのでにおいが気になりにくいとはいえ、清潔感がなければ、お世話する側も気持ちよくないですからね
広大な犬舎なので、掃除は大変そうですね。
一日中掃除しているような感覚です(笑)朝5時から掃除がはじまって、昼ごろまでかかります。順番に犬たちを外に出してあげて、遊ばせている間に掃除をしてご飯をセットする、頃合いを見て犬をお部屋に戻す。というルーティンを繰り返すんです。
すべての犬のお部屋の掃除が終わるのはお昼ごろになります。
朝5時からはじめてお昼までかかるんですね……。お産室は、また別なわけですよね。
お産室の掃除は午後にしています。同時に室内温度・湿度調整、親犬・赤ちゃん犬の健康チェックもおこないます。スタッフは計10人いますが、仕事が尽きることはありません。
犬たちの健やかな成長に欠かせないコミュニケーション。掃除やお世話の際も、絶えず語りかけることを意識

犬たちのお世話で心掛けていることはありますでしょうか
コミュニケーションは大事にしています。たとえば、スタッフは無言で作業したりしません。一日中犬たちにしゃべりかけているんですね。人と接する機会が少ないと、犬は人を怖いと感じるだろうし、まして自分の赤ちゃんを触らせるなんて断固拒否すると思うんですよね。
対話が信頼関係の構築に役立っているということですね。
犬たちを部屋から出し入れするときも、抱っこして移動させるようにしています。人に触られたり接したりするなかで信頼関係が生まれ、おおらかな性格に育ちます。
また、スキンシップをしながら、体重の増減や発情の有無、健康状態等もチェックしています。
犬たちは理解力が高く、人間をよく観察している。きちんとしつけをおこなってよい関係を築いてほしい。

遠方から来るお客様も多いと聞きましたが
北は北海道から南は沖縄まで、全国からお客様がいらっしゃいます。とくに大型犬はペットショップでは手に入りにくいことから、遠方からのお客様も多いです。
みなさん、家族旅行を兼ねて来てくださっているようですね。当犬舎ではレアな犬種でも、きょうだいがいれば複数頭見ていただけるので、好きな犬種で吟味されたいというお客様のニーズにお応えすることができると思います。
お客様に子犬をお渡しする際、しているアドバイスやサービスはありますか。
「ワンちゃんは、おバカじゃないんですよ」ってことをよく話しているかもしれません(笑)
犬は、話せないだけで人間が言ったことの多くは理解できている。飼い主さんをじっと観察して、次に何が起こるのかを予測しています。「どうせ何もわかってないから」なんて思わずに、コミュニケーションを大事にしてもらいたいですね。きちんとしつければ、いい子に育ちます。
お客様からの問い合わせで、多く寄せられる質問はありますか。また、その質問には、どう答えていますか。
はじめてお迎えするお客様からは、食事や散歩、しつけなど、基本的な飼い方についての質問を多くいただきます。みなさん喜びや期待もありつつ、不安もたくさんおもちです。少しでも不安が解消できるよう、一通りのご説明をします。
また、できる限り親犬も見せて、成長後のイメージももってもらっています。
SNSやお客様からいただく写真、巣立った犬たちの姿を見られる楽しみは、ブリーダーをやっていてこそ

「ブリーダーをやっていてよかった!」 と思うのは、どんなときでしょうか。
お客様がお迎え後の様子を教えてくださったり、インスタグラムなどで、犬たちの幸せな様子を見るときですね。巣立っていった子たちが、素晴らしい家族に迎えられてかわいがってもらっている姿を見るのは、本当にうれしいですよ。「ああブリーダーやっててよかったな」って思います。
なかには、当犬舎で犬をお迎えしたご家族さん同士が交流を深めているケースもあったりして。きょうだい同士でご対面、親戚同士でご対面なんてこともあります。そんなお客様同士のつながりを知るのも、大きな喜びです。
ブリーダーをやっていて大変だと感じることもあると思います。それは、どんなときでしょうか。
何があってもお世話は必要だというところでしょうか。家族に不幸があったときでさえ、仕事をしています。何があっても1回は犬舎に来て、犬たちを自分の目で見て確かめないとっていうのはあります。幸い最近では頼れるスタッフが増え、1日ぐらいならお任せできる状況です。でも1日が限界ですね(笑)。
長年勤めているスタッフさんも多いのですか?
長い子では、15年くらい。5年以上になるスタッフも多く、心強いですね。当犬舎で動物取扱業を取得して、独立していく子もいます。動物への愛護精神が非常に強くて、意識の高いスタッフばかりです。
家庭を明るく照らす存在になってくれるように。健やかでフレンドリーな子に育てたい

犬が人に与える影響について、テレビなどでも紹介されることがありますが、深沢ブリーダーは、どのような影響があるとお考えでしょうか。
お客様がよくおっしゃることとして、「家庭が明るくなった」というのがありますね。お子さんの成長や家庭の問題で、家族のなかで会話が減るというケースは少なくないと思うのですが、そうしたときに犬を迎えて、犬を介して家族がまとまった、会話が増えて明るくなった、というお話はよく聞きます。
犬が人と人とをつないでくれるんですね。
犬のいるリビングに、家族が集まるようになる。犬のお世話を通して家族が協力し合う必要がでてきますし、犬のすることが一家の注目の的となり、家族に笑顔をもたらしてくれる、というのはあると思います。
だからとにかく健やかで、かわいがってもらえるフレンドリーな子を育てて、送り出してあげたいんです。
これから子犬を飼う方に、アドバイスをお願いします。
ご家族でよく話し合って、納得してお迎えして欲しいな、と思っています。お母さんだったり、お子さんだったりが、犬を飼いたいという強い気持ちをもっていたとしても、家族のうち誰かが否定的な気持ちでいると、犬にも影響がでてしまうと思うので。犬がいる生活について、家族みんなでイメージをもって、ご家族様みんなでかわいがってあげられる環境であってほしいと思っています。
明るく、朗らかなお人柄の深沢ブリーダー。大自然の中で、たくさんの犬たちを育ててきた深沢ブリーダーの一番のこだわりは、「とにかく健やかで、かわいがられるフレンドリーな子を育てる」こと。
長いキャリアのなかで培った経験から語られる言葉には説得力があり、育犬ノウハウやエピソードについて、もっとたくさん聞いてみたいという気持ちになりました。
取材時、犬舎スタッフの働きぶりや犬に対する愛情深さについても語ってくれた深沢ブリーダー、犬舎のアットホームな雰囲気が伝わってきました。犬たちやスタッフ含め、大家族のように過ごしていらっしゃるのだと思います。
「犬はなんでもわかっている」と笑う深沢ブリーダーのお話には、犬への深い理解と愛情が詰まっており、まさに犬たちの「ビッグママ」といった風格を感じました。
※インタビューの内容は取材当時のものです。現在は状況が変わっている場合がございます。